糊塗日記

不定期更新。学生です。

「ニュートンの蕾」18話感想前編

集英社公式アプリ少年ジャンプ+にて毎週火曜日更新の画像データ「ニュートンの蕾」18話さざ波とアステール(2)の感想をジャンプラの秘密兵器・玉響しゆに敬意を払いつつ書いていく。新連載の「ヒナちゃんチェンジ」といい倫理観の破綻した漫画を推すジャンプ+の好戦的な姿勢が伺える。

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何度見ても不可解な立方体群

  • 絵のこと

やばい。今週は作業時間が少なかったのだろうか。かなりホラーテイストの作画となっている。1ページ目のロッカーらしきものが読者の不安を煽る。長方形を組み合わせた灰色の図形がなんか…並んでいる。なんだろうこれ。本当になんだろう。仮にロッカーだとして考察を深めるとまず柊の背を大きく超えた大きさであることがわかる。身長180cm以上の生徒専用のロッカーになってしまう。またこんなにたくさんロッカーが置いてあって何に使うのだろうか。アメリカの学校にはこういう設備があるのを映画で観るからそれを意識したものだろうか。しかしずらずらと尋常じゃない数のロッカーが節度なく設置してある。取手らしき長方形もひとつの扉に3個ずつ付いているように見える。かと思えば手前の同じ対象だろう物体は扉一つ一つの幅が狭すぎる。上履き片方入るかわからない。これは本当に何を描こうとしたのだろう。一目見て「おかしい!」と誰もが気づく背景を1ページ目に持ってくるあたりは玉響の尋常でないセンスのなせる技だろう。読者の常識と異なる背景を描くことで舞台設定をファンタジーに移行しようとしているのならわからない話ではない。油断ならない作品だ。

柊の横顔とドアノブにかける手が描かれたそれぞれ二つのコマ。読む順番がわからない。全世界共通で漫画は右から左に読むものなのに対し左のコマを少し上に設置することで読みにくさを助長している。読みにくい漫画は敬遠される。気をつければ直せる部分なので直してほしい。そのまま松原の待つ教室のドアを開ける柊。教室に入るのを躊躇する描写を表情ひとつで完結させるあたり演出力の底の浅さがわかる。テンポが悪くて個人的には好きじゃないが少女漫画的には「ドアノブに触れる→手を離して深呼吸する→覚悟を持った表情をして一息にドアを開ける」ぐらいは期待する。その次の場面。松原が顔を伏せて柊を待っている。顔が描かれていないのはいいとして肌が白すぎる。窓の外は夕方だから赤くなるならともかく白くなることはあり得ないだろう。先週はもっと健康的な肌をしていたはずだ。このコマも光の差し方がおかしい。窓は松原の後ろに描かれているが差し込む光は横向きに描かれている。かと思えば松原の影の光源は後ろのみである。何を言っているのかわからないかもしれないが見たとおりの絵を文章に起こした結果である。机が描かれているのでおおよその床の位置を推定すると松原は間違いなく浮いてる。彼は両手をフリーにしているがずっとこの状態で立っていたのだろうか。いつ来るかわからない柊をずっと?教室には松原以外いないように見える。確かに不気味な雰囲気の男子が一人いれば誰でも別の教室に行きたくなるだろう。また柊の頭と照らし合わせるとカメラの位置がおかしい。柊の頭の上から画面を映している格好だが松原がそう遠く見えないのと机が真横から描かれていることから柊が膝立ちにならないとおかしい構図になった。そうなると彼女は教室に入った瞬間膝から崩れ落ちたことになる。すこし面白い。

まだサブタイトルまで行ってないのに1000文字を超えた。

松原が「柊さん」と声をかけるコマ。柊が普通に立っているので膝立ち説は否定された。目の当たりの発光だかオーバーレイだかが強すぎる。例のごとく髪が「ふわっ」てるがどの位置の窓からも遠いのでおかしい。髪を右手で触っているがその手はついさっきドアを開けていた手だ。かなりのスピードで顔の横まで持ち上げたのだろう。手が下手。次のコマで松原の顔が正面から映され「…ずっと気になっていたんだ」と言う。目の塗りをミスっていると思われる。鼻の中心と思われる線がおかしい。手癖で描いたのだろう。口がくちばしみたいになっていておかしい。耳も随分とでかい。正面から見る限りこんな風には見えないだろう描き方。首がおかしい。下にいくにつれて細くなっているが上から見ないとこうはならない。このコマの総評としては「お前の顔の方が気になる」。

その次のコマ。松原の腕が長い。パースがおかしい。背景におかしなものが描いてある。クリップボードに貼り付けられた時間割を描いたものと思われるが実態は謎。また考えるだけ無駄である。柊の手が小さい。この大きさでは握力は5kg相当と思われる。

ここでサブタイトルが挿入される。長かった…。今さらだがナンバリングが(序)(1)(2)となっている。あまり読者を馬鹿にするな。

駅のホーム。天井が高い。電車の車輪が見えるのはおかしい。立方体でも置いておけば自動販売機に見えたかもしれない。松原と柊以外ひと一人も描写されないのは都会の駅のホームとしてはおかしいだろう。かと思えば違う角度からの画面にはモブが描かれている。あまり混乱させないでほしい。柊の顔が薄っぺらい。正面から見れば大きい顔面をしているので彼女の頭蓋骨はせんべいのような形なのだろう。驚くべき新人類だが玉響世界では珍しいことではない。その次のコマ。手のポージングが怖い。松原は水色のニットを着ているが先ほどの教室のシーンでは着ていなかった。しっかりしてほしい。柊が恥ずかしがっているシーン。やはり手が小さい。松原がキョトンとしている顔。倫理観に反した表情と思われる。これに関しては意図的なものかもしれないがそうとも限らないのが玉響という作者である。「人が沢山いるから恥ずかしいよー…」というシーンに人があまりいないのはギャグだろう。面白い。空の色がピンクっぽい。夕方とセリフに書いていたのになぜオレンジにしないのか…。漫画にイライラさせられたのは初めてだ。情けない。

「二人で映画館に行こう」とあるコマ。背景がひどいが灰色のビルは玉響世界の基本的な建築物なので慣れなければならない。

柊と松原がデートする。「おまたせー」と「むん」を描き文字にしている。むんってなに。私服が相変わらず、なんというか…嫌。ダサいとかダサくないとかじゃなく不愉快で鼻に付く服装だ。松原が明後日の方向を向きながら柊と会話している。妖精を見ているのかもしれない。柊の体のパースがめちゃくちゃだが玉響世界では基本的なことである。だがどうしても脚より長く見える腕は看過できない。どうにかしてくれ。映画館内で松原の顔色が再び悪くなった。そういうキャラだと割り切らねばならないかもしれない。柊が松原の側の手すりにだけ手を乗せているのも気になる。誘っているようにしか見えない。松原が柊の手を握るがいきなり恋人結びをする。目眩がするがこれも玉響世界の常識かもしれない。松原が喜んだような表情?をしているがひどい表情をしている。その後の空の塗り方が再び読者の不安感を煽る。雲の厚さからみて下から見上げているような状態かと思ったがカメラワーク的には横から見るような格好となった。こんな空は世紀末でしかあり得ないだろう。ニュートンの蕾は地球の自転軸が揺らぎ、それに伴った災害の後生き残った人類たちのノスタルジーな世界を描いているのかもしれない。だとしたらやたら灰色な建築物にも納得がいく。都市の復興までのスピードを速めるため余計な装飾を省いたのだろう。ピンク色の不思議な空もポールシフト後の異常気象と考えればつじつまが合う。ヒロイン・橘の未知の病気、褪色病もそれに伴った突然変異かもしれない。スケールが思いの外大きくなった。

この後松原が強引なキスを柊に迫るが1コマ前に汗をかいているのがいかにも恐ろしい。彼はデート後はキスして当然と考えていたのだろうか。玉響お得意のキス顔が炸裂する。高校生が主な登場人物だったので油断していたが18話にして我慢ならなかったようだ。玉響は前作で唐突にキャラクター同士をキスさせるなどの暴挙に出た前科がある。覚悟の準備ができていなかった。本当に驚いた。怖い。その後柊が破裂音とともに松原から距離を取る。最後に渾身の立ち絵を披露して今週の分はやっと終わり。唐突に雨が降ったように足元に波紋が描かれる。演出がいちいちわかりづらい。読者を混乱させることにてらいがないのが玉響の恐ろしいところである。

  • つづきます

更新が日を跨いでしまったことと前後編に分かれてしまったことをお詫び申し上げます。前後編に分けるのはこのままのペースだと文字数が一万近くなると思われるからです。いつも書いている「話のこと」の感想は来週までに更新したいと思っています。

後編です↓

「ニュートンの蕾」18話感想後編 - 糊塗日記