糊塗日記

不定期更新。学生です。

「ニュートンの蕾」感想

作者が同じ出身校らしいことを聞いたのでジャンプ+にて連載中「ニュートンの蕾」を読んでみた。

毎週火曜日更新、現時点で8話まで公開されている。初回のみなら全話コインを払わず誰でも読めるので本記事で興味を持った人は時間があれば読んでみるのもいいかもしれない。

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このサムネのポーズ、いまいちわからない

  • 画面のこと

まず「ニュートンの蕾」は縦読みでフルカラーである。漫画の新しい形式として縦読み知名度は上がってきたもののそもそも読みものは横読みの先入観が強く、まだまだ慣れない読者は多い。加えてフルカラーであることを活かした画面の使い方を意識しているのだろうが所狭しと散りばめられた三角形が鬱陶しい。画面のどこに目を向ければいいのかの配慮がまったくなされていないように感じた。背景とのコントラストも考えているようには見えず、奥行きに乏しい。

コマ割りは枠線にとらわれない少女漫画のようだ。普段からこれを読み慣れている人には違和感ないかもしれないがそれにつけても視線の誘導がうまくない。コマの配置の複雑さによって本作品を多くの読者に敬遠させてしまっている気がしてならない。

 

  • 話のこと

話の内容もまた少女漫画である。それだけなら同アプリ内にも少女漫画チックなものもちらほらとあるため構わないのだろうが色々と作者の中で完結していて些細なポイントが抜けている。

まず同じクラスの柊さんである。初登場時の演出がややこしく、主人公・荻らに歩み寄り挨拶をしたあと、仲の良さそうな女子グループのもとへ行くのだがその直後に主人公が嫌そうな表情を見せる。荻は様々な感覚が色として見える共感覚を持っている。そのため言葉に隠された真意を見通すことができるのだが、嫌な表情を向けていたのが立ち去る柊さんなのか彼女以外の女子グループなのか非常にわかりづらい構成だった。一応彼女以外の女子グループらしい絵なのだがモノローグが会話の裏の感情に対するものなのに彼女らのセリフが吹き出しでなかったためそれらの関係性が微妙になっていた。これが実は黒幕・柊さんの伏線で、意図的なわかりにくさを演出したならあっぱれだが違うと思う。

また6話ではヒロイン・橘が治療困難な病気にかかっていることが彼女の口から告げられるのだが、この世界の住人はどうしてこれほど自身の秘密に対して口が軽いのか。荻が彼女の描いた絵に対して指摘したことがこの告白のきっかけとなるのだが、それは橘の誤魔化しようでどうにでもはぐらかすことができた。

本来親友にも話すのがためらわれるような難病の詳細を会って数日の同級生に話す橘の心境が理解できなかった。なにか理由があるのならわかりやすく話に盛り込んで欲しかった。

  • おわりに

全体的に少女漫画のテンプレートに則っていて目覚ましい工夫や演出も見られないため完全に畑違いな印象。作者・玉響しゆ(たまゆら・しゆ)は他アプリでの連載経験があるため引き抜きで慣れない環境かもしれないが読者層を考慮して描いて欲しい。

唯一良かった点はアプリという媒体に対して色という題材を活かそうとしてきたところ。

作者との共通項がなければ絶対に縁のない作品であっただろうけれど少女漫画の勉強をするつもりで9話以降も追ってみようと思う。