糊塗日記

不定期更新。学生です。

「ニュートンの蕾」12話感想

集英社公式アプリ「少年ジャンプ+」にて毎週火曜日更新、玉響しゆ(たまゆら・しゆ)作「ニュートンの蕾」の感想を書いていく。最近の楽しみはペンギン。

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騙し絵

  • 絵のこと

今週は先週・先々週にわたった電話の話をヒロイン・橘視点からお送りする内容となっていた。

高校生が顔パック付けているのはなんかきつい。顔パックは化粧水とかを長時間肌に直漬けすることでなんか肌にいい効果をもたらすらしいのだが若々しい高校生にそれが必要だろうか。軽くネットで検索した限りでは「逆に肌が荒れる」と「スキンケアは早いうちから」の真反対の意見が半々くらいだった。参考にならない。若いうちなんだし化粧水でよくね、というのが客観的な意見である。改めて高校生が顔パックつけてるのは絵面的にきついからやめてほしい。話を先に考えて融通をきかせない玉響の悪癖が顔を覗かせている。

橘は主人公・荻からの急な電話に出る。このとき荻が変なランニングを着た様子が橘のiPad的なタブレットに映る。その後すぐに通話は切れるのだが橘が直後に発する「画面の情報にツッコミどころ多すぎない…?」というセリフに共感できない。情報量は多くないからだ。あとこのセリフ「の情報」の部分を削るとスッキリする。画面にはランニングを着た荻と変なヒヨコしかいなかった。ツッコミどころどころか情報がすくない。橘のセリフが読者の理解をはるかに超えていて謎かけのよう。この程度の齟齬はペン入れの段階で間違いなく気づくと思われるのだが…。橘の目には読者の視点には映らない壮大なイメージが見えていたのかもしれない。

今更ながら背景が適当。特に本棚。本の高さが均一でやたらスカスカしている。色味を薄くしても手を抜いているのがわかる。ベッドやカーペットの柄にやたらとオシャレチックな素材を多用しているため目がチカチカする。意味ありげな模様じゃなくてそれこそ水玉とかストライプで簡単に済ませていい箇所だろう。机の上もやたらと片付いているしすぐ側の棚にも画材らしきものが見当たらない。橘は色を失いつつも健気に絵を描く少女ではなかったのか。絵を描くなら机の上はメモとか画材とかで相当ごちゃつく。そもそもペン立て、スタンドライト、タブレットしか置かれておらず並の人より片付いている。勉強道具なんかはすべてカバンの中に片付いているのか。また今日描写された背景の限りではカバンが描かれていなかった。角度的にたまたま映らなかっただけだろうか。観葉植物は棚の一番上に置かれていた。机より高い位置であり水やりが大変そうだ。すこしの地震で落ちそうでかなり危ない。家具の配置だけをとりあえず決めてその通りに描くだけで細かい裏付けを考えていない。生活感がなく人間味のない部屋に恐怖すら感じる。話の内容が淡白だからこそ背景の白け具合が際立っているように感じた。荻にリダイヤルをかけているときの背景も謎。障子紙みたいな背景?なので訳がわからない。

場面転換に青空を挿入するべきではない。メインストーリーが夜中なのに読者が混乱するとは考えないのだろうか。

  • 話のこと

今週は特に話がひどい。

顔パックをつけた橘が荻からの急な電話に出る。通話が切れたあと自分の顔パックに驚き気を取り直して荻にリダイヤル。間違えてビデオ通話にしてしまい荻の着替えた様子を目にする。この後普通に電話してデートの誘いを受ける。というのがあらすじ。

これ先週までの話にまとめられなかったのか。sideA、sideBみたいな演出は嫌いじゃないがそれはもちろん驚きを伴ってこそ。本作の別視点の演出は週をまたいで間を持たせるための時間稼ぎにしか使われていない。ここまで考えてしまうと玉響の話作りに対する姿勢が透けてきて非常に残念。

はじめ間違えてビデオ通話したあと橘は髪を整える。その後普通の通話をするつもりだったなら髪を整える必要はないだろう。気合いを入れるモーションとして挟んだのなら手間が多い。

ビデオ通話の前、橘は横になっておそらく手に持ったスマホで動画を鑑賞している。荻から着信があったのは彼女の手にあったスマホではなく机の上にあったタブレットだった。その後スマホでも普通に通話しているため二つの端末には同一のアプリが入っているはず。同時に二つの端末に着信があってしかるべき。最初スマホの方に着信がなかった理由は不明。読者の混乱を招いた。

顔パックのことを荻に突っ込まれなかったからセーフ、と橘は言っている。突っ込め。荻視点からなんのアプローチもないから橘から大袈裟に触れるのかなと思ったがそんなことなかった。なんのための顔パック。なんのための画面的なインパクト。ひとつひとつの事象が繋がらないただの舞台装置に過ぎない。

荻からの絵を描く誘いに対する橘。モノローグで一呼吸置いてから行きたい!と答える。即答しろ。誘いに対して椅子をきしませてモノローグを挟みつつ行きたい!だと偉そうである。モノローグの部分だってわざわざ文章に起こすことなく表現できる範囲だ。会話のリズムが著しく気持ち悪い。もっとテンポよく話を進められないのだろうか。

  • おわりに

また全体的に平坦な話だった。なにもかも一生懸命描いている感じがしない。玉響は副業でこの漫画を描いているのかもしれない。

橘と荻の動向にまったく興味がわかない。キャラクターが生気を帯びてなくて操り人形かなにかのようだ。

この漫画に誰かがなにかを期待しているだろうか。考えてはいけない。

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